#1 赤ちゃんの寝かしつけを科学する【入眠偏】

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目次

寝かしつけに悩むパパたち

赤ちゃんの寝かしつけって、本当に試行錯誤の連続ですよね。仕事の都合上、お風呂には間に合わないけど、寝かしつけから引き継ぐパパも多いと思います。私自身も0歳の娘を育てていて、仕事から帰宅するやいなや鋭いパスが飛んできて日々奮闘中です。

生後6ヶ月にもなるともうかなり慣れましたが、振り返ると泣いている状態から落ち着かせられずにおどおどしたり、ベッドに置いた瞬間にギャン泣きされたりの毎日でした…。でも、この寝かしつけを少しでも楽にしてくれたのが、今回紹介する**「寝かしつけを科学した論文」**です。

こちらの論文は2022年に理化学研究所にて発表された論文で、とても興味深く何度も読み返しました。笑

特に子育てに奮闘中のパパは最後まで読んでみてください!

この記事では、赤ちゃんを眠りに落ち着かせるまでをテーマに、研究で明らかになった効果と実践のコツをお届けします。

実は、赤ちゃんの寝かしつけには科学的に裏付けられた方法があるんです。

赤ちゃんを泣き止ませ、眠りへ誘導する方法

本研究では、0〜7か月の乳幼児を対象に、以下の4つの方法を比較しました。

4つの寝かしつけ方法

  • 歩行抱っこ(WalkHold)
    母親が赤ちゃんを抱っこしたまま歩く
  • 座ったまま抱っこ(SitHold)
    母親が抱っこした状態で座り続ける
  • ゆりかご・ベビーカーで揺らす(MCOT)
    赤ちゃんを揺れる環境で寝かせる
  • ベッドに寝かせる(COT)
    赤ちゃんをそのままベッドに置く(静止状態)

Screenshot

対象者(乳幼児の母)が上記の各方法を30秒または5分間実施し、

  • 泣き止む速さ
  • 心拍数の変化
  • 睡眠への移行のしやすさ

を詳細に分析しました。

最も効果的な方法は「抱っこ+歩行」

結果として、泣いている赤ちゃんに対しては抱っこしながら歩く(WalkHold)が最も赤ちゃんを落ち着かせる効果が高いことが明らかになりました。

  • 抱っこ+歩行を30秒続けるだけで、泣いている赤ちゃんの割合が顕著に減少
  • さらに、5分間続けると、泣いていた赤ちゃんの約50%が眠りに入る

一方、座ったまま抱っこ(SitHold)では、赤ちゃんの心拍数は落ち着くものの、泣き止む効果はほとんど見られませんでした。

つまり、「動き」と「抱っこ」の組み合わせが、赤ちゃんを落ち着かせる最も強力な要因であることが示されました。

なぜ歩行抱っこは効果的なのか?

この研究では、赤ちゃんが落ち着くメカニズムとして「運搬反応(Transport Response)」が鍵を握ることも示されています。

運搬反応とは?
運搬反応は、哺乳類の乳児が親に抱えられた際に示す生理的な鎮静反応のことです。

具体的には、

  • 心拍数の低下
  • 筋緊張の減少
  • 自発的な身体運動の抑制

といった変化が起こります。

この反応は、野生動物において「親に運ばれる際に抵抗を減らし、安全に移動するための適応戦略」として発達したものと考えられています。 ヒトの乳児も同様に、抱きかかえられて歩行されることで、本能的に落ち着き、眠りへと誘導されるのです。

 

科学的に導かれた「最適な寝かしつけプロセスStep1」

この研究結果をもとに、科学的に最も効果的な寝かしつけ方法をまとめると、以下のステップが推奨されます。

まずは抱っこしながら歩くことが効果的であるということが明らかとなりました。

STEP
まずは5分間、歩きながら抱っこする(WalkHold)

→ まずは赤ちゃんの「運搬反応(Transport Response)」を引き出し、リラックス&入眠を促す。

STEP
眠りに落ちてから8分間の我慢がカギ?

-次の記事で紹介-

STEP
ベッドの移した後に手を添える?

-次の記事で紹介-


背中スイッチ

この研究が示す最適解を整理すると、以下の3点がポイントとなります。

寝かしつけを最適化するためには運搬反応を活用し、歩行抱っこでリラックスさせる

しかし、ここで一つの疑問が残ります。なぜ、赤ちゃんはベッドに置かれた瞬間に目を覚ましてしまうのか?

次回は、赤ちゃんが起きてしまう「背中スイッチ」の正体に迫ります。これを理解すれば、寝かしつけの成功率がさらに向上するでしょう!

参考文献

Ohmura, N., Okuma, L., Truzzi, A., Shinozuka, K., Saito, A., Yokota, S., … & Kuroda, K. O. (2022). A method to soothe and promote sleep in crying infants utilizing the transport response. Current Biology, 32(20), 4521-4529. https://doi.org/10.1016/j.cub.2022.08.041

Esposito, G., Yoshida, S., Ohnishi, R., Tsuneoka, Y., Rostagno, M. D. C., Yokota, S., Okabe, S., Kamiya, K., Hoshino, M., Shimizu, M., Venuti, P., Kikusui, T., Kato, T., & Kuroda, K. O. (2013). Infant calming responses during maternal carrying in humans and mice. Current Biology, 23(9), 739-745. https://doi.org/10.1016/j.cub.2013.03.041

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