#2 赤ちゃんの寝かしつけを科学する|置くと起きる場面を研究から読む

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「やっと寝た」と思って置くと、また泣く

「やっと寝た……」と思ったのに、ベッドへ置くとまた泣く。抱っこで落ち着いても、この最後の場面で振り出しに戻ることがあります。

いわゆる「背中スイッチ」です。でも2022年の研究では、覚醒との関係が最も一貫していたのは、背中が寝床に触れた瞬間ではありませんでした。母親が身体から手を離し始める時です。1

置き方だけでなく、「眠ってからどれくらい経っているか」「どの瞬間に手を離すか」にも目を向ける。これが研究から得られる実用的なヒントです。

置く前の睡眠時間と、手を離す瞬間が関係していた

研究では、眠った乳児を母親が寝床へ移す場面を、生理指標と動画で分析しました。測ったのは、置く前に眠っていた時間と、置いた後に睡眠が続いたかどうかです。両者には関連があり、眠ってすぐに置くより、少し時間が経ってからの方が睡眠を保ちやすい傾向がありました。1

置く瞬間だけを工夫するより、眠りに入ってからの時間と、身体を支える手の離し方まで含めて考える方が、研究結果には合っています。

研究を家で使うなら「5分歩く→5〜8分座る」

著者らはデータをもとに、泣いている乳児を5分ほど歩いて抱き、眠った後に5〜8分ほど座って抱いてから寝床へ移す流れを提案しました。1

大事なのは、秒単位で時間を守ることではありません。歩いて落ち着かせた直後に置くのではなく、座って抱く時間をはさみ、眠りが続いているかを見てから移す。この順番が使いやすいポイントです。

試す時の手順

  1. 授乳、排泄、室温、体調など、泣いている理由を先に確認する
  2. 頭と首を支え、転倒しにくい場所をゆっくり歩く
  3. 眠ったら、無理のない範囲で座って抱いたまま様子を見る
  4. 寝床へ下ろし、手を急に抜かず、赤ちゃんの反応を見ながら離す

時間どおりにできなくても失敗ではありません。養育者が眠い、ふらつく、いら立ちが強い時は、歩行抱っこや座ったままの抱っこを続けないでください。

安全な寝床は、寝かしつけより優先する

寝かしつけの方法がうまくいっても、安全な睡眠環境が崩れては意味がありません。寝床へ移す時は、次を基本にします。2

  • 仰向けに寝かせる
  • 硬く平らで、傾斜のない睡眠面を使う
  • 寝床に枕、掛け布団、ぬいぐるみなど柔らかい物を置かない
  • ソファや大人用ベッドで、抱いたまま一緒に眠り込まない

泣き止まなくても、安全な寝床へ仰向けに置くことはできます。限界を感じたら、赤ちゃんの安全を確保していったん離れ、家族や相談先へ助けを求めてください。

この論文から考えること

「5分歩く・5〜8分座る」は、観察データから著者らが提案した手順です。成功率を比較した無作為化試験ではなく、対象も0〜7か月の乳児と母親でした。正解の時間として守るのではなく、寝床へ移す前に少し待つという考え方を試すための目安です。

まとめ

  • 研究内では、母親が手を離し始める時に乳児が覚醒しやすかった
  • 置く前の睡眠時間と、その後の睡眠結果に関連があった
  • 歩いて落ち着かせた後、座って抱く時間をはさんでから寝床へ移す
  • 仰向け・硬く平らな寝床・柔らかい物なし、を優先する

うまく置けた日も、何度やっても起きる日もあります。この研究は原因を言い当てるものではなく、試し方を一つ増やす材料です。

参考文献

  1. Ohmura N, et al. A method to soothe and promote sleep in crying infants utilizing the transport response. Curr Biol. 2022;32(20):4521-4529.e4. doi:10.1016/j.cub.2022.08.041. PubMed
  2. National Institute of Child Health and Human Development. Safe Sleep Environment. Safe to Sleep
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