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#4 骨片がある競技者は肘が伸びにくい?

#4 骨片があると肘は伸びにくい? 伸展制限と痛みのサイン
骨片がある選手では、肘の機能にも違いがある?
#3の記事では、男子大学野球選手1チームの調査で、内側上顆に骨片を認める群は超音波で測った筋収縮時の位置変化が小さかったことを紹介しました。
では、同じ選手で可動域と疼痛誘発テストはどうだったのか。肘伸展可動域とMoving Valgus Stress Testの結果を見ていきます。
結論:分離型群では、肘伸展可動域が小さく、疼痛誘発テストの陽性者が多かった
この対象では、内側上顆に骨片を認める分離型群に、次の群間差がみられました。
- 肘の伸展可動域が制限されている
- Moving Valgus Stress Testの陽性率が高い
- 正常群:1.9 ± 1.0°
- 分離型群:−5.7 ± 2.7°
- 正常群:3.4%
- 肥大型群:0%
- 分離型群:33.3%
- 肘が伸びにくい
- 外反ストレスで痛みが出る
- 投球後に肘内側部の違和感が残る
- 分離型群では、正常群よりも肘伸展可動域が制限されていた
- Moving Valgus Stress Test陽性は、正常群29名中1名、分離型群12名中4名だった
- 骨片があることだけでなく、可動域や疼痛誘発をあわせて評価する必要がある
結果①:分離型群では肘が伸びにくかった
投球側の肘伸展可動域は、次の結果でした。
分離型群では、正常群より肘伸展可動域の平均値が統計学的に小さくなっていました。
平均値でみると、分離型群は正常群より約7.6°伸展しにくい結果でした。投球側の肘が反対側より伸びにくい時は、単に「硬い」で済ませず、骨形態や痛みとあわせて見る必要があります。
結果②:Moving Valgus Stress Testの陽性率が高かった
Moving Valgus Stress Testは、肘に外反ストレスを加えながら動かし、肘内側部の痛みを確認する検査です。
この検査の陽性率は、次の結果でした。
Moving Valgus Stress Testで肘内側部の痛みが誘発されたのは、正常群29名中1名、分離型群12名中4名でした。これは診察時の疼痛誘発テストの結果であり、将来のけがの発生率を示すものではありません。
この結果を評価にどう使うか
骨片の有無、肘伸展可動域、Moving Valgus Stress Testは、それぞれ違う情報を示します。
画像で骨片を認め、さらに次の所見が重なるなら、現在の肘機能まで詳しく確認します。
反対に、画像所見だけで「投げられない肘」と決めることもできません。画像、可動域、疼痛誘発、実際の投球症状を並べることで、評価の解像度が上がります。
研究の読み方
本研究は、一つの大学野球チームを一時点で調べた横断研究です。骨片が伸展制限や疼痛を起こしたという因果関係、将来の障害リスク、治療法や投球復帰基準は検証していません。
対象は男子大学野球選手であり、成長期の選手や他の競技レベルに、そのまま当てはめることはできません。
まとめ
参考文献
Orimoto K, et al. Influence of medial epicondyle morphology on the contribution of flexor-pronator muscle contractions to dynamic elbow stability. JSES Reviews, Reports, and Techniques. 2026;6(2):100680.
