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#1 赤ちゃんの寝かしつけを科学する|歩行抱っこで分かったこと

寝かしつけは、試行錯誤の連続でした
赤ちゃんの寝かしつけって、本当に試行錯誤の連続ですよね。
私も娘が0歳のころ、仕事から帰ると寝かしつけを引き継いでいました。泣いている理由が分からず、おどおどする。やっと落ち着いたと思ってベッドへ置くと、また泣く。慣れるまでは、その繰り返しでした。
そんな時に読んだのが、2022年にCurrent Biologyへ掲載された、乳児の泣きと睡眠に対する抱っこ・歩行の研究です。1
この研究から考えると、歩きながら抱く方法は、泣いている赤ちゃんを落ち着かせる選択肢になりそうです。
研究で比べた4つの状態
研究では0〜7か月の乳児と母親を対象に、主に次の状態で、泣き、動き、心拍数、睡眠への移行を観察しました。1

- 母親が抱いて歩く
- 母親が座って抱く
- 動くベビーベッドに寝かせる
- 静止したベビーベッドに寝かせる
ポイントは、泣いている時と、すでに落ち着いている時で反応を分けて見たことです。寝かしつけを一つの方法で考えるのではなく、今の赤ちゃんの状態に合わせて方法を選ぶヒントになります。
泣いている乳児では、歩行抱っこで反応が変わった
泣いている乳児では、母親が抱いて歩くと、泣きと自発運動が減り、心拍数が低下しました。5分間の歩行抱っこでは、泣いていた乳児の一部が眠りに入りました。一方、泣いていない乳児では同じような入眠促進は示されませんでした。1

2013年の研究でも、生後6か月未満の乳児は、座った母親に抱かれた時と比べ、歩く母親に抱かれた時に泣きや自発運動が減り、心拍数が低下しました。この一連の変化が「運搬反応」と呼ばれています。2

この一連の変化は「運搬反応」と呼ばれます。泣いている時には、抱かれて歩く刺激が、身体を落ち着かせる方向へ働くと考えられています。
試すなら、目的は「必ず寝かせる」ではなく「落ち着ける」
泣いていて、授乳、排泄、暑さ・寒さ、体調不良など思い当たる原因へ対応しても落ち着かない時に、短時間の歩行抱っこを試す余地はあります。
- 乳児の頭と首を支え、転倒しにくい場所をゆっくり歩く
- 階段、段差、物の多い場所は避ける
- 強く揺さぶらない
- 養育者が眠い、ふらつく、疲れ切っている時は歩かない
泣き続けてつらい時は、赤ちゃんを安全な寝床へ仰向けに置き、いったん離れて落ち着くことも安全のために必要です。
眠った後は、安全な睡眠環境を優先する
抱っこで眠った後も、ソファや大人用ベッドで抱いたまま養育者が眠り込むのは避けます。安全な寝床へ移す時は、次を基本にしてください。3
- 仰向けに寝かせる
- 硬く平らで、傾斜のない睡眠面を使う
- 寝床に枕、掛け布団、ぬいぐるみなど柔らかい物を置かない
- チャイルドシートやバウンサーを通常の睡眠場所にしない
「眠らせる方法」と「安全に眠る場所」は別に考える必要があります。
この研究から考えること
対象は0〜7か月の乳児と母親で、人数も大規模ではありません。父親や他の養育者でも同じ結果になるか、夜の睡眠時間や長期的な寝かしつけが改善するかは、この研究では分かっていません。「必ず眠る方法」ではなく、泣いている時に試せる方法の一つとして読むのが適切です。
まとめ
- 泣いている0〜7か月の乳児では、母親の歩行抱っこで泣きや心拍数が低下した
- 5分間の歩行抱っこで一部が眠ったが、全員に効く方法ではない
- 眠った後は、仰向け・硬く平らな寝床・柔らかい物なし、を優先する
歩行抱っこは「これで寝るはず」と自分を追い込むための手順ではありません。合う時に使える、選択肢の一つです。
参考文献
- Ohmura N, et al. A method to soothe and promote sleep in crying infants utilizing the transport response. Curr Biol. 2022;32(20):4521-4529.e4. doi:10.1016/j.cub.2022.08.041. PubMed
- Esposito G, et al. Infant calming responses during maternal carrying in humans and mice. Curr Biol. 2013;23(9):739-745. doi:10.1016/j.cub.2013.03.041. PubMed
- National Institute of Child Health and Human Development. Safe Sleep Environment. Safe to Sleep
